1.食品表示を学ぶにあたって
食品は、人の命と健康を支え、さらに、人が心豊かな暮らしを送る上で、重要な要素となっています。
安全・安心、より健康的で、それぞれの人の好みに合わせて“おいしい”と感じる食品を提供することが、食品に携わる人材の大きな使命であることはいうまでもありません。
そのために、お客様が商品を選ぶための重要な情報である食品表示については、広く、正しい知識を習得する必要があります。
食品表示には色々な法律が関係し、その範囲は広く、又、内容が複雑なものも多くあります。
さらに新たな項目の追加や、改定も頻繁に行われています。
食品のプロとして継続的に学びながら、新たな情報に対しても敏感になる必要があります。
ここでは、まず、食品表示を学ぶにあたり、現時点での自分の持つ知識を確認する意味で、以下の基礎的な10問について、解答してみて下さい。(答えは本ページの一番下)
【食品表示基礎知識テスト】
| 1. | 次の秋の味覚のうち、アレルギーの推奨表示の対象でないものは? | 2. | 牛肉トレーサビリティー法により個体識別番号の表示が必要なものは? | |
| ➊ | マツタケ | ➊ | 包装した国産牛のこま切れ肉 | |
| ➋ | ギンナン | ➋ | 包装した米国産のステーキ用ロース肉 | |
| ➌ | リンゴ | ➌ | 包装していない国産牛の焼肉用のバラ肉(カルビ) | |
| 3. | 次の鮮魚の商品の名称のうち、表示することのできないものは? | 4. | 以下のうち、輸入した生鮮食品の名称で国名ではなく、カリフォルニアなど一般的な名称で表記しても良いものは? | |
| ➊ | 関サバといったブランド名 | ➊ | 農産物 | |
| ➋ | アトランティックサーモンといった標準和名でない一般的名称 | ➋ | 畜産物 | |
| ➌ | アキアジといった、季節に応じた一般的な名称(季節名) | ➌ | 水産物 | |
| . | ||||
| 5. | 次のうち、認められていないものは? | 6. | 次のうち、表示を省略できないものは? | |
| ➊ | 「千葉県」などの都道府県名 | ➊ | 内容量を外見上容易に識別できる弁当の内容量 | |
| ➋ | 「丹波」「土佐」など一般に知られている旧国名 | ➋ | 透明容器に入った弁当の「トンカツ」を「おかず」と省略 | |
| ➌ | 「近畿」などの都道府県より広い地域名 | ➌ | 栄養強化の目的で使用される添加物 | |
| 7. | 次のうち、内容量を「g」 又は 「kg」 で表示するものは? | 8. | 次のうち、遺伝子組み換え食品の表示対象とならない加工食品は? | |
| ➊ | アイスクリーム | ➊ | しょう油 | |
| ➋ | 食パン | ➋ | 豆腐 | |
| ➌ | 冷凍エビ | ➌ | ポテトチップス(菓子) | |
| 9. | 「食物繊維が豊富」と表示する場合、その食品に100g当たりに含まれるべき食物繊維の量は? | 10. | 消費期限を、「年月」にのみで表示できる商品の消費期限は? | |
| ➊ | 1g以上 | ➊ | 3ヵ月 | |
| ➋ | 3g以上 | ➋ | 6ヵ月 | |
| ➌ | 6g以上 | ➌ | 1年 | |
食品表示は、商品をより安心して買物して頂くための、欠かすことのできない情報です。
その商品を買う、買わない、食べる、食べないは最終的にお客様が判断することですが、正しい判断ができるような情報提供(表示)は、販売側の大きな責任であり、お客様は、食品表示からは、様々な情報を読み取ります。
■食品表示で得られる情報の一部
➊ アレルギーの原因となる原材料は? ➋ 原産地はどこ? ➌ 塩分の量は? ➍ 遺伝子組み換えとなる原材料の使用は? ➎ 使われている食品添加物は? ➏ カロリーやタンパク質などの栄養成分は? ➐ 輸入先はどこ? ➑ 使われている原材料は? ➒ 安全に食べれるのはいつまで? ➓ 製造・加工場所は? ⓫ 舌でつぶれる商品なの? ⓬ 有機栽培のもの? ⓭ 赤ちゃんや妊産婦が食べても大丈夫?
■ 食品表示の役割
【 お客様にとって 】
➊ 食べる食品の安全性の確保
➋ 自主的かつ合理的に食品を選べる機会の確保
【 企業側にとって 】
➊ お客様に商品の情報を正確に伝達できる。
➋ 食品事故を未然に防ぐことができる。
➌ 問題が起こった際に、原因究明や製品回収などの対策を迅速に行うことができる。

2.食品表示に関する法令
食品表示に関連する法律は、中心となる「食品表示法」の他に「食品衛生法」 「JAS法」 「健康増進法」 「牛トレーサビリティ法」 「米トレーサビリティ法」 「景品表示法」 「計量法」「薬機法」 「不正競争防止法」 「製造物責任法」「リサイクル法」 など多くの法律が関係しており、食品提供側は、これらすべての法令に適合するように表示しなければなりません。
■ 食品関連法令の全体像
◆ 適切な食品表示 お客様の商品選択 安全/安心の確保
➊ 食品安全基本法 ➋ 食品表示法 ➌ 食品衛生法 ➍ JAS法 ➎ 健康増進法 ➏ 食品トレーサビリティ法 ➐ 牛トレーサビリティ法 ➑ 米トレーサビリティ法 ➒ 景品表示法 ➓ 計量法 ⓫リサイクル法 ⓬ 不正競争防止法 ⓭ 製造物責任法 ⓮ 薬機法 ⓯ 都道府県条例 ⓰ 省令 ⓱ 告示・通知 ⓲ 酒税法
■ 食品表示法の全体図

➊ 品質事項 ➋ 衛生事項 ➌ 原材料 ➍ 原料原産地名 ➎ 内容量 ➏ 原産地 ➐ 原産国名 ➑ 食品関連事業社等 ➒ 名称 ➓ 遺伝子組み換え ⓫ 添加物 ⓬ 賞味・消費期限 ⓭ 保存方法 ⓮ アレルゲン ⓯ 製造所等 ⓰ 保険事項 ⓱ 栄養成分表示 ⓲ 機能性表示食品
● 食品表示法
JAS法、食品衛生法、健康増進法の3つの法令の表示の基準を一元化した法律です。
食品に表示する事項について「食品表示基準」を定めることとしています。
この食品表示基準が、表示のルールの基本となるものです。
● JAS法(日本農林規格等に関する法律)
JAS法(正式名:日本農林規格等に関する法律)は、農林水産省が制定する日本農林規格(JAS規格)について定めた法律です。
JAS規格には、農林物資の品質や生産方法などの基準が定められており、これに適合する製品にはJASマークを表示できます。
有機食品の表示、JASマークの表示について規定しています。
JAS規格に適合し、商品の包装や容器などに有機JASマークがついていなければ、「有機」や「オーガニック」と表示はできません。
● 食品衛生法
食品衛生法は、飲食による健康被害の発生を防止するための法律で、安全性確保の観点から必要とされる食品及び添加物の基準等を規定しています。
食品衛生法において保存方法や添加物の使用基準が定められている食品があります。
製造者や加工者の所在地や氏名・名称は食品衛生法の許可や届出に基づいて表示をします。
● 健康増進法
特別用途食品(乳児の発育や、妊産婦、授乳婦、えん下困難者、病者などの健康の保持・回復などに適するという特別の用途について表示を行うもの)として食品を販売するには、その表示について消費者庁長官の許可を受ける必要があります。
保健機能食品(特定保健用食品[トクホ]、機能性表示食品、栄養機能食品)の表示の要件についても規定しています。
広告その他の表示に、健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させるような表示はしてはいけません。(誇大表示の禁止)
● 景品表示法
景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)は、消費者を欺くくような「不当表示」や過大な「景品」を規制する法律で、特に商品の品質や内容を偽って見せかける「優良誤認表示」や、価格・取引条件を実際より有利に見せかける「有利誤認表示」が禁止されています。特に商品の品質や内容を偽って見せかける「優良誤認表示」や、価格・取引条件を実際より有利に見せかける「有利誤認表示」が禁止されています。 ↑優良誤認・有利誤認 ➟既に貼って頂いているリンクで結構です。
➐ 牛トレ-サビリティ法
牛トレーサビリティ法(正式名称「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」)は、牛の安全を確保するために施行された法律で、この法律により牛(国産牛)に耳標を装着し、個体識別番号を割り振ることで、牛の出生から解体、食肉として販売されるまでの一連の履歴情報を記録・保存し、消費者にも確認できるようになっています。
➑ 米トレーサビリティ法
米トレーサビリティ法は、食品事故等発生時に米穀や米加工品の流通ルートを速やかに特定するため、生産から販売・提供までの各段階で取引記録の作成・保存と産地情報の伝達を事業者に義務付ける法律です。
対象品目は米穀や米加工品全般に及び、対象事業者は生産者から小売、外食業者まで全般を指します。
記録は「品名、産地、数量、年月日、取引先名、搬出入場所」などを記載し、原則3年間保存します。
● 計量法
適正な計量の実施を確保するため、計量の基準を規定しています。
容器包装に入れられ、密封された政令で指定された特定商品については、計量法に基づいて内容量を表示します。
● 薬機法(旧薬事法)
食品に薬的効果(病気の治療又は予防を目的とする効能効果、身体機能の増強・増進を目的とする効能効果)を標ぼうすることを禁止しています。
● リサイクル法
容器包装廃棄物を、消費者が適切に分別排出でき、市町村の分別収集が促進するように、事業者に容器包装の識別表示を義務づけています。
⓭ 製造物責任(PL)法
製造物の欠陥によって人の生命や身体、財産に損害が生じた場合に、被害者が製造業者などに 損害賠償を求めることができる法律です。
対象となる製造物は、一般的には工業的に大量生産された製品で、加工された農林畜水産物なども含まれます。
⓬ 不正競争防止法
事業者間の公正な競争を確保し、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とした法律で、食品については、食品偽装(産地偽装・原材料偽装・消費期限または賞味期限の偽装など)が、この法律によって罰せられます。
3.食品表示に基づく食品表示基準
食品表示法の「食品」とは、すべての飲食物(薬機法による医薬品及び医薬部外品を除く)を指し、食品衛生法に規定する添加物や酒税法に規定する酒類も含まれます。
食品表示法に基づいて、基本的な食品表示の内容を定めているのが、「食品表示基準」です。
食品表示基準においては、食品を「加工食品」「生鮮食品」 「添加物」 の3つに区分し、その事業者を「一般(消費者)向けの食品を扱う食品関連事業者」 「業務用食品を扱う食品関連事業者」「食品関連事業者以外の販売者」の3つに区分して、それぞれの表示について規定しています。
一般的に、加工食品は、製造や加工の工程を経て、食品としての本質が変化したり、新たな属性が加わったりすることから、消費者は、その食品を一見しただけでは、原材料などの情報を得られません。
一方、生鮮食品は、流通過程においてそのような変化等がないことから、比較的容易に、その食品についての情報を得られることができます。
JAS法や健康増進法の考え方を踏まえつつ、「加工食品」と「生鮮食品」が区分されています。
「添加物」については、食品を着色、香り付けするなどの目的で使用されるものであり、「加工食品」や「生鮮食品」とはその 特性等が異なることから、別の区分が行なわれています。
■ 食品表示法の商品の分類
加工食品 生鮮食品 添加物
■ 食品区分の定義
● 加工食品
製造又は加工された飲食物として以下加工食品の種類に掲げるもの
● 生鮮食品
加工食品及び添加物以外の飲食物として以下生鮮食品の種類に掲げるもの
● 添加物
食品衛生法第4条第2項に規定するもの(以下添加物の種類)
◆ 加工食品の種類
1.麦類 2.でん粉 3.野菜加工品 4.果実加工品 5.果実加工品 6.茶、コーヒー及びココアの調整品 7. 香辛料 8.めん、パン類 9.穀類加工品 10.菓子類 11.豆類の調整品 12.砂糖類 13.その他の農産加工品 14.食肉製品 15.酪農製品 調整品 16.加工卵製品 17.その他の畜産加工品 18.加工魚介類 19.加工海藻類 20.その他の水産加工品 21.調味料及びスープ 22.食用油脂 23.調理食品 24.その他の加工品 25.飲料類
◆ 生鮮食品の種類
1.農産物(きのこ類、山菜類及びたけのこを含む)
(1)米殻 (2)麦類 (3)雑穀 (4)豆類 (5)野菜 (6)果実 (7)その他の農産食品
2.畜産物
(1)肉類 (2)乳 (3)食用鳥卵 (4)その他の畜産食品
3.水産物
(1)魚類 (2)貝類 (3)水産動物類 (4)海産哺乳動物類 (5)海藻類
◆ 添加物の種類
【用途名表示】
(1)甘味料 (2)着色料 (3)保存料 (4)増粘材、安定剤、ゲル化材、糊料 (5)酸化防止剤 (6)発色材 (7)漂白剤 (8)防かび剤、防ばい剤
【一括名表示】
(1)イーストフード (2)ガムベース (3)かんすい (4)酵素 (5)光沢剤 (6)香料 (7)酸味料 (8)チューイングガム軟化剤 (9)調味料 (10)豆腐凝固剤 (11)苦味料 (12)乳化剤 (13)水素イオン濃度調整剤
■ 生鮮食品と加工食品の区分
JAS 法では「製造」又は「加工」されたものが加工食品であり、「調整」又は「選別」にあたるものは「生鮮食品」と分類されています。
| 用 語 | 定 義 |
| 製 造 | その原料として使用したものとは、本質的に異なる新たなものを作り出すこと |
| 加 工 | あるものを材料として、その本質は保持させつつ新しい属性を付加すること |
| 調 整 | 一定の作為は加えるが、加工には至らないもの |
| 選 別 | 一定の基準によって仕分け、分類すること |
また、組み合わせと混合の考え方について、生鮮食品の同種混合は生鮮食品だが、異種混合は加工食品になるが、異種でも単に組み合わせただけでは生鮮食品である点に注意が必要となります。
| 種 別 | 定 義 |
| 組み合わせ 盛り合わせ | いくつかの生鮮食品を単に組み合わせたり、盛り合わせただけで、バラバラに飲食、調理等されることが想定されるもの |
| 混 合 | いくつかの生鮮食品が混合されて一つの商品としてそのまま飲食、調理されることが想定されるもの |
■ 食品表示の対象範囲
| 食品形態 | 製造(生産)場所 | 容器包装 | 表示項目 |
| 生鮮食品 | 生産場所以外で販売される場合 仕入れたものやセンター加工のもの) | なし | 名称、原産地等(一部限定される) |
| あり | 名称、原産地、その他の義務表示(食品によって添加物、消費期限、保存方法等の表示も必要) | ||
| 生産場所で直接販売される場合 (インストアかこうのもの) | なし | 適用対象外 | |
| あり | 一部限定した項目のみ(摂取する際の安全性に関する表示 | ||
| 加工食品 | 製造場所以外で販売される場合 (仕入れたものやセンター加工のもの) | あり | 加工食品の表示項目が適用対象名称、原材料名(添加物、アレルギー含む)、内容量、期限、保存方法、製造者、栄養表示等 |
| 製造場所で販売される場合 (インストア加工のもの) | あり | 名称、添加物、アレルギー、期限、保存方法、製造者等(一部限定) | |
| 製造場所で販売 | なし | 適用対象外 | |
| 設備を設けてその場で飲食させる場合 | 適用対象外 | ||
● 未包装の生鮮食品は店頭POPやホワイトボードでの表示も可能
● 表示が免除される場合
・量り売り
・パンや惣菜のバラ売り(裸売り)
・同一施設での製造販売
■ 表示方法
表示は日本語で、読みやすく、理解しやすい 用語で正確に行います。
表示に用いる文字の色は、背景の色と対照的な色にします。
容器包装の表示に用いる文字は、日本産業規格Z8305(1962)に規定する8ポイントの活字以上の大きさの文字にします。
- 表示可能面積が150㎠以下のものは、5.5ポイント以上の大きさの文字とすることができます。
- 玄米・精米(内容量が3kgを超えるもの)は、12ポイント以上にします。
■禁止事項
① 商品の品質、規格、その他の内容について、一般消費者が、実際のものより著しく優良または有利であると誤認するような用語
② 表示すべき事項の内容と矛盾する用語
③ 内容物を誤解させるような文字、絵、写真その他の表示
④ 保健機能食品(特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品)以外の食品に、保健機能食品と紛らわしい名称、栄養成分の機能、特定の保健の目的が期待できる旨の用語
⓹ 個別に規定された表示禁止事項
※ 食品表示法以外にも禁止事項が定められている法律があります。
⑥ 実際のものや事実に相違して競争事業者のものより著しく優良又は有利であると誤認される表示(景品表示法)
※ 「事実を誤解させるような紛らわしい表示」も不当表示となります。
表示内容について、消費者に対して説明できる、具体的な根拠を持つ必要があります。
⑦ 健康保持増進効果等についての虚偽誇大広告(健康増進法)
⑧ 医薬品的効能効果(薬機法)
※ 「○○が治る」「○○を予防する」など、医薬品と紛らわしい効能効果を表示したり、健康保持増進効果等について著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示は禁止されています。
【食品表示基礎知識テスト解答】










